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村上春樹氏がいう「良いコーチ」の条件

走ることについて語るときに僕の語ること先日読了した村上春樹著「走ることについて語るときに僕の語ること」(文春文庫:2010年6月)に興味深い内容でコーチングに関する記述があることに気が付きました。

村上氏は、トライアスロンを始めたときに、ランナーとしてそこそこ走れたそうですが、なんとも水泳とバイク(自転車)が苦手で、技術の向上が必要だったそうです。特に、オリンピックに出場したとか、競技で優勝したいといった欲求があるわけではありませんでしたが、水泳とバイクの向上なくして、トライアスロンの完走はないと考えたらしいのです。

そこで、いろいろと指導者を探して、水泳とバイクの技術向上に努力されるのですが、なかなか思うように向上しない・・・そんなコーチを多く経験することによって、以下のような感想を記述している・・・

決まったことを、決まった手順で、決まった言葉を使って教えられる教師はいても、相手を見て、相手の能力や傾向に合わせて、自分の言葉を使って教えることのできる教師は少ない。というか、ほとんどいないと言っていいかもしれない。(p.236)

つまり、「教師というのは、相手によって、決まったことを、決まった手順で、決まった言葉使ってもダメだよ」と主張しているわけです。「相手の状況をきちっと把握した上で、その相手に合わせて、独自のことを、独自の手順で、独自の言葉を使って教える必要があるんだよ」と。これ、解かっているようでなかなかできません。コーチに限らず、私のようなコンサルタントでもまったく同様のことが当てはまると考えています。ただ、相手が「ジュニア」である場合は、こうした内容を知って指導するのと知らずして指導するのでは、やはり大きな差が出るような気がしています。

村上春樹氏から学ぶ「抜ける」ということ

走ることについて語るときに僕の語ること村上春樹著「走ることについて語るときに僕の語ること」(文春文庫:2010年6月)を読了しました。実は、この本が村上春樹氏、初体験なんです。まっ、いろいろと理由はあるのですがここでは詳細を記述することは避けておきます。

村上春樹氏は、ランナーだったんですね!更にはトライアスロンもやっている・・・知りませんでした・・・ただ、この本に気になる内容が程よく散らばっていて、「走ること」と同時に「小説家であること」とを程よく解説しているような気がして、時間を忘れて一気読みといった感じで読むことができました。全体の結論としては、「才能が重要だけど、その才能を発見し、向上させ拡張していくために必死になってみては如何でしょう」ってことにでもなるのでしょうか。結構平易な文脈で誰でも楽しめると思います。

本中、村上氏、通常のマラソンではなくスーパーマラソンにチャレンジするシーンがあります。どうやら「100km マラソン」のことを言うらしいのですが、走行中に「抜けた」という経験を記述しています。ちょっと引用しておきましょう。

「何も考えないようにしよう」と意識的に努める必要がなくなった、ということだ。生じた流れを、自動的にたどり続けるだけでいい。そこに身を任せれば、何かの力が僕を自然に前に押しだしてくれた。(p.118)

70km 地点くらいから上記のような感覚がきて「抜けた」と考えてそうです。アスリートが良く表現する「フロー状態」というやつでしょうか。何も考えず、流れままに・・・この状況を知ることは、アスリートにとっては非常に重要なことなのですが、「どうやって抜けるのか」とか「どの段階で抜けるのか」を説明できないことがちょっと難点ですが。

私個人の経験から、また村上氏の経験を書籍を通して知った上で言えることは、「日々努力をしている人に、それは突然やってくる」としか言いようがありません。ただ、日々の努力を継続すること。そうしないと「抜ける」ことはできません。

「抜けた」瞬間、全てが一瞬にして別世界になります。私もこの「抜けた」経験が2度あったんじゃないかな、と感じています。その経験は、いづれ公開することにしましょう。