テニス観の相違


先日読了した中村計著「甲子園が割れた日 – 松井秀喜5連続敬遠の真実」(新潮文庫:2010年08月)甲子園の割れた日3には、これまで感じていたテニスに関する考え方の相違によって生じる決して交わることのない課題が、どうして生じるのかを解き明かしてくれたような気がしました。そうした意味で、中村計氏のこの書籍は、大きな影響力が私にはあったような気がしています。

今や誰でも知っている松井秀喜選手の甲子園。星陵高校の松井選手は、5打席連続の敬遠をされる・・・そして、その敬遠を指示した明徳義塾高校の監督・・・どちらも言い分があるし、その「敬遠」に対して、世論を賛成派と反対派とに分けて、大きな社会問題!?になった・・・「明徳義塾が選択した敬遠策は、勝負に勝利するためには、当然である」とする賛成派、「野球というスポーツを考えた場合、ランナーがいない時まで敬遠というのは、スポーツマン精神に反する」といった反対派。どちらが正しくて、どちらが誤っているかという議論は、いつまでたっても平行線で結論を得ることはできないと思いますが、そうした平行線の課題を以下のように中村氏は語っています。

両校の野球観の違いの背景にあったもの。それは、野球に純粋だったのか、勝負に純粋だったのか、その違いだった。(p.157)

野球に純粋だったのは星陵高校で、勝負に純粋だったのは明徳義塾ということになります。つまり、両校には、野球観の違いがあって、敬遠という策に対する「是否」を結論付けることはできない、というものです。

こうした野球観という考え方は、テニスにも当てはまると私は考えました。テニス観の相違・・・テニスに純粋なのか、勝負に純粋なのか。この違いは、テニスに対する考え方において、いろいろな方々といろいろな場面で主張が違ってくる。「テニスだって最終的には、勝負の世界。勝たなければ意味がない・・・」、「試合に勝って始めて、試合の内容を議論すべきで、敗戦時に試合の内容が良かったなんてことはありえない・・・」、「ベースラインからのストロークをより完璧に仕上げること。それがジュニアテニスで勝利する最短の道である・・・」等々、私にとって、こうした意見は、本書を読了する前までは、「間違った」考え方と解釈していましたが、これらの意見は、どうやら「勝負に純粋な人達」の意見だった、と解釈する。

一方で、私はというと・・・「テニスに純粋な人」であって、我が娘にも「テニスに純粋であって欲しい」と考えているのです。ミスショットをしないテニス。それを追求して、ベースラインからのストロークに終始する。ラケットの進化と共に、パワーテニスに移行したのだから、パワーを追及する・・・こうした事案は、「テニスの本質を考えた時に、どうしても違った道である」と解釈せざるを得ない・・・それは、「テニスに純粋」であるから。つまり、「勝負に純粋な人達」と交わることはないのです。どちらが正しいとか間違いという結論を出すことはできないのです。

テニスには、サーブ、ストローク、ネットプレー等々、多種多様のショットバリエーションがあって、そうしたバリエーションを可能な限り多くして、結果として勝利があると強く信じています。勝つためにショットバリエーションを選択する、というのとは相反するわけです。そうした違いは、テニス観の相違が原因です。

こうして考えると、テニス観が同じ、または同じテニス観を共有することができるテニスクラブに所属し、テニス観が同じコーチのもとで練習する、ということが非常に重要です。テニス観が違ってしまったら、目指すことを見失ってしまうような気がするわけです。

【追記】
本投稿記事へ、興味深い Tweet を頂きましたので、ちょっと引用しておきます。Tweet は、本ブログの投稿記事「ネットで注目している 5 人(プラス 1)のテニスコーチ」でご紹介させて頂いた稲本昌之氏(@barca05puyol)。

この事件の僕の記憶。あるコメンテーター(おそらく漫画家の水島新司さん)が言った『明徳のピッチャーにとって松井のような大打者と対決できるチャンスはもうないだろう、そのチャンスを奪ったのは駄目だ』的なコメントが今も頭に残っています。( Tweet より)

テニス観はその人のテニスのすべてですよね!違ったテニス観の人に影響を受けることも必要だし、影響受けすぎて失敗して、自分という人間のキャラクターに気がつくということもあります。テニス観を与える立場にいるコーチにはその『責任』をおうことが最低条件だと思います。( Tweet より)

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